「宇宙」を思い浮かべた時, あなたはきらめく星々を想像しますか. それとも天に高くそびえるロケットや地球の周りを回る人工衛星でしょうか.
本記事では後者のロケットや人工衛星に当たる, 「宇宙開発」についてフォーカスしていきます.
宇宙開発の目的
宇宙開発の目的は二つです.
科学的技術の躍進 と 軍事目的.
第二次世界大戦によってエンジン系統やロケット技術が進歩し, 1950年代後半から宇宙開発という分野が拓けていきました.
当時は米ソ冷戦真っ只中.
どちらも宇宙への人工衛星打ち上げ成功例がない状態を克服し, 陸上を監視する人工衛星を開発・軍事利用するために争っていました.
そんな中1957年. 旧ソ連が人工衛星「スプートニク1号」の打ち上げに成功.
旧ソ連は人工衛星を打ち上げられただけでなく, ICBM(大陸間弾道ミサイル)を”より重いものをより遠くに”飛ばせるように改良しました. これによって, アメリカ全土が旧ソ連のもつミサイルの射程範囲となりました.
アメリカは猛烈に焦りはじめ, 当時陸海空軍が独立して開発を行っていた人工衛星やロケットを統一し, NASAを創設しました.
これが「スプートニク1号」打ち上げ成功の翌年, 1958年のことでした.
アメリカの宇宙開発
平成末期の世の中では, アメリカは宇宙開発でも一つ頭が抜けている存在ですが, 宇宙開発競争の初期の段階では, 旧ソ連に大きく遅れを取っていました.
これは, 当時の組織構造のためでした.
NASAが創設される前のNACAという組織.
当時, 宇宙開発自体を担っていたのは軍で, 政府機関の一つである*NACAで航空関係の研究開発を行なっていました.(*National Advisory Committee for Aeronautics: アメリカ航空諮問委員会.第一次世界大戦の開始した翌年に創立.)
このように, 宇宙開発と航空関係がバラバラに研究されていたため, なかなか成果が上がりませんでした.
この状況を打破するため, 「スプートニク1号」の打ち上げから1年後に*NASA (the National Aeronautics and Space Administration: アメリカ航空宇宙局) が立ち上げられ, 現在のアメリカの宇宙開発全てを担うことになります.
そしてアメリカの宇宙開発を一気に押し上げたのが, 当時の大統領ジョン・F・ケネディ(1917~1963)が有人宇宙飛行を10年以内に実現させる,という宣言でした.
これがあの有名な「アポロ計画」です.
宣言した1961年の8年後ー
1969年7月20日. アポロ11号が月面に人類を送るミッションを成功させました.
夢がある計画ですが, 残念なことにアポロ計画以降, 一度も人類は月へ行っていません. (行ったのは宇宙兄弟の物語くらいかな?)
ここから先のアメリカの宇宙開発は現代的になるので, 次回の連載記事で紹介します.
ロシアの宇宙開発
ロシアの宇宙開発の経緯はアメリカと少し異なります.
旧ソ連では, 第二次世界大戦前まで民間の研究団体が核となって宇宙開発をしていました.
有名な技術者のセルゲイ・コロリョフもここに属していました.
セルゲイ・コロリョフは, 旧ソ連の宇宙開発を先頭で引っ張っていった人物で, 第二次世界大戦後ドイツにてロケット開発に携わります.
ドイツにはV-2ロケットという, 現在のロケットの祖先(=ミサイル)を開発した研究者が多くいたため,旧ソ連とドイツの間での研究者交流は盛んだったようです.
地道に成長していった旧ソ連の宇宙開発は, 1957年の「スプートニク1号」以降, 翌年チンパンジーを衛星の中に乗せて宇宙へ送り込んだ「エクスプローラー1号」や, 1961年にユーリ・ガガーリン(1934~1968)を乗せて史上初の有人宇宙飛行を成功させた「ボストーク1号」など, 数々の功績を残しました.
ISS
最後に, 2018年宇宙開発を語る上で外せない, ISSについて書きます.
ISSとは, International Space Station(国際宇宙ステーション)という, 人間が居住可能なサッカーコートくらいの大きさの人工衛星です.
私たちの頭上400kmの軌道に位置し, 世界各国の宇宙飛行士たちが日々実験を行なっています.
ISSはアメリカ, 日本, ヨーロッパ, カナダ, ロシアの15カ国によって, 1998年に建設が開始され2011年に完成しました.
ISSという施設は, 実験場や研究所, 観測所や天文台の役割を果たしており, 常時6名の宇宙飛行士が滞在しています.
日本では, かなり不定期に宇宙飛行士の募集をしていますが, アメリカでは日本より頻繁に宇宙飛行士の募集をかけているので, 宇宙飛行士になりたいキッズのみんなはアメリカで市民権を獲得して宇宙飛行士になる方が日本よりも確率高いかもしれません^^
ISSが位置する地上400kmは微小重力という空間です.
つまりは, 無重力(あまりに大雑把すぎる「つまり」の使い方ですが, この使い方が不適切であることがわかるかたは静かに下へスクロールしてくださいw).
無重力状態で長い間過ごすと, 「どっちが上で(天井), どっちが下なのか(床)」が分からなくなってしまい, 「宇宙酔い」という状態になってしまいます.
できるだけ, 宇宙酔いを防ぐために, ISS内の床には青いテープが貼ってあります.
ISSは完成してからもうすぐ10年です.
そこそこ古い宙船, といったところでしょうか.
ISSに変わる宇宙空間の人類の拠点スペースについてのアイデアが20年後には実現されるでしょう.どんな形になって, どのあたりに位置するのか(地球近傍or他惑星の軌道).想像するだけで楽しいですね.
おわりに
宇宙開発の歴史は戦争からスタートしています.
皮肉にも, 多くの人命が犠牲になったミサイルの開発からロケットが生まれたり, 他国を監視するために人工衛星が作られたりと決してホワイトなプロセスではありませんでした.
現在でも, 全くホワイトという訳ではありません.
しかし, ISSや宇宙空間を平和に使用する条約などで少しでもクリーンな環境にしようと各国が宇宙開発に取り組んでいます.
今後, 技術の発達により宇宙開発がどれほど進歩するかわかりませんが, 「あらくれ」を読んでくださっている皆様の中から将来宇宙に行く人が現れたらワクワクしますね.
それでは, 次回の連載もお楽しみに^^/
レファレンス
宇宙博2014 -NASA・JAXAの挑戦- NHK, NHKプロモーション, 朝日新聞社
「NASA」と「JAXA」がよくわかる本 最新宇宙研究から,その裏側まで 作: 安藤卓 PHP研究所
「スプートニク1号」( http://spaceinfo.jaxa.jp/ja/sputnik_1.html )
カセイジン
0コメント